![]() 走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法
专利摘要:
走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法(SICM)を用いて表面を調べるための方法であって、a)表面領域内のそれぞれ離れた位置において、SICMプローブを各表面の近くに繰り返し動かし、各位置における表面高さを測定する工程、b)その表面高さ測定に基づいてその領域の表面粗さまたはその他の表面特性を試算する工程、および、c)その領域内のそれぞれ離れた位置において、プローブを各表面の近くに繰り返し動かし、その点数および位置は領域における試算された表面粗さまたはその他の表面特性に基づいたものであり、表面粗さまたはその他の表面特性に適合した分解能で前記領域の画像を取得する工程、表面を調べるための方法。 公开号:JP2011511286A 申请号:JP2010544789 申请日:2009-02-02 公开日:2011-04-07 发明作者:オスタニン,ビクター;クラーク,リチャード;クレナーマン,デビッド;コルチェフ,ユーリー;シェフチュック,アンドリュー;ノバック,パベル;フロレンコフ,グレゴリー;チャオ リ 申请人:インペリアル イノベーションズ リミテッド; IPC主号:G01Q60-44
专利说明:
[0001] 本発明は走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法に関し、また、軟表面および界面(細胞および複雑なマトリックス構造の軟表面および界面を含む)の研究におけるその使用に関する。] 背景技術 [0002] 軟表面は、自然現象の1つであり、細胞膜や非混合性の液滴など、液体中に特に見られる。そのような表面の研究に用いられる多くの画像化技術や測定技術には、観察中に表面を乱しエラーを引き起こす力が加わったり、観察前に表面修飾を必要としたりする、プロービング法が利用される。] [0003] 動物であろうと植物であろうと、細胞は生物の最も基本的な単位である。その構造および組成の研究、ならびにその多様な構成成分がどのように機能しているのかについての研究は、統合生体系で起こる複雑なプロセスの解明に役立つ。これには、細胞の機能性を保持できるように、細胞試料の検査をリアルタイムで、非侵襲的に、かつ生理的条件を模倣した溶液中で行うことを可能にする技術が必要である。] [0004] 光学顕微鏡法(可視光を使用)は、生きた細胞を研究するために広く利用されてきた。しかしながら、その分解能は回折により約200〜250nmに制限される。さらに詳細な研究に通常使用される方法としては、電子顕微鏡法があり、電子顕微鏡法では10nmの分解能で画像の取得が可能であるが、画像化する前に試料を固定する必要がある。それ故に、電子顕微鏡を用いて生細胞を研究することは不可能である。] [0005] 別の高分解能技術として、走査型プローブ顕微鏡法(SPM)を利用したものがあるが、これは鋭いプローブの先端を測定対象の試料の極めて近くを走査させることによる。得られる相互作用ひいては試料の化学的/物理的特性を、試料に対する先端の位置の関数としてプロットすることにより、相互作用のトポグラフィーを作成することができる。SPMのように、生物学における画像化に利用されるものとして、原子間力顕微鏡法(AFM)、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法(SICM)および走査型近接場光学顕微鏡法(SNOM)がある。] [0006] 原子間力顕微鏡法(AFM)は、機械的な力または圧力への表面の応答を調べるのに通常使用される。AFMを用いる場合、先端カンチレバーバネ定数が、測定対象の表面がその測定または検出プロセスによってどのくらい動かされるかに影響するため、測定できる表面の軟らかさには制限がある。AFMを接触モードまたはタッピングモードで使用する際のさらなる難点は、表面がプローブ先端にくっつき、引き戻しの際に測定結果を狂わせ、先端の汚染および表面への機械的な損傷を引き起こす可能性があることである。] [0007] その他プロービング法に必要な環境として、撮像前に表面を修飾する必要があるが、これは電子顕微鏡観察において撮像前に表面を安定化し、液体を除去するために、真空又は低圧ガス環境を必要とするのと同様である。] [0008] 走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法(SICM)は、接触あるいは相互作用が一切なく、さらに試料の入った正常液体環境下で、軟表面の高分解能撮像が可能である走査型プローブ顕微鏡法(SPM)の1つである。SICMでは、通常、電解質を満たしたガラスマイクロピペットが電解質溶液中にある試料の表面上を走査する(非特許文献1参照)。石英のピペットを用いてもよい。特許文献1では、SICMを効果的に使用、例えば、プローブの位置を制御することにより生きた細胞の表面を走査することができる、という内容が開示されている。これは、電流が一定の値を保つように、表面からマイクロピペットの先端までの距離を調節することにより成され、通常、表面から数ナノメートルの距離にプローブを保持するようにする。ピペットと試料との距離は、ピペットの開口部を通って流れるイオン電流をモニタリングすることにより一定値に維持される。このイオン電流は2つの電極間、つまり、電解質溶液中のピペット内側とピペットの外側の電極間を流れるのである。この電極間に電圧を印加した際のイオン電流シグナルは、マイクロピペットの抵抗(RP)と、液槽とマイクロピペットの開口部との間の輻輳経路の抵抗であるアクセス抵抗(RAC)との組み合わせに依存する。RPはマイクロピペットの先端の直径およびマイクロピペットの円錐角に依存し、RACは液槽に入った試料の電気化学的特性、試料とプローブの位置関係や距離など複雑な依存性を示す。RACはピペット−試料間のイオン電流値に敏感に反応し、接触が起こらないような距離を維持するために有用な値である。] [0009] SICMを使った複雑な表面の非接触プロファイリング法には、先端と試料の距離を、先端の直径のおよそ2分の1とすることが最適である(非特許文献2参照、および非特許文献3も参照のこと)。先端の位置を制御するシステムの出力を用いることにより、試料表面の局所的な特徴の画像が得られる。SICMによる達成可能な空間分解能は、先端の開口部のサイズに依存し、通常は50nmから1.5μmの間である。このサイズに対応した分解能が得られる。] [0010] SICMで使用されるマイクロピペットの感度は、マイクロピペット先端の直下の表面に対して最も高く、先端の側面に位置する表面構造に対してはそれより低い。マイクロピペットを、表面の素性がマイクロピペット先端の直径と同様の大きさである表面を走査させる場合、SICMシステムは表面と接触しないように先端を保持することができる。しかしながら、表面が、先端の直径よりもずっと大きい高さや構造を含み、その特徴および構造が急勾配の縁または壁を含む場合には、衝突を避けるためにSICMシステムの走査スピードを遅くしなければならず、それにより表面の各点で費やす時間が長くなる。極端に言えば、標的表面が、例えば絡み合ったニューロンのクラスター、または細胞が生育するマトリックスもしくはスキャホールドなどの、複雑な構造である場合には、マイクロピペットが引っかかるリスクおよびSICMシステムが走査不可能となるリスクがある。] [0011] 特許文献1には、プローブを一定速度或いは変化率で表面を走査させる方法が開示されている。プローブのイオン電流および垂直方向の位置を所定の範囲内に安定させるために、位置によってプローブの所要時間を変化させる方法も知られている。しかしながら、これらのすべての方法において、走査線当たりの測定点数および画像当たりの走査線の数で表されるように、走査の解像度または走査中に測定した点の密度はその走査全体を通じて一定である。その結果、各点で費やされる時間が増加するにつれて、全走査時間が比例的に増加する。複雑な表面について高分解能の画像を得るためには、桁外れの時間を要することになってしまう。] [0012] 最も重要な領域に走査を絞るこれまでの方法は、光学顕微鏡を使った測定に基づいており、得られた画像をコンピュータ解析することを含んでいる(非特許文献4)。このような方法は補助的な役割を果たすが、分解能が光の波長に影響されるため限界がある。] [0013] 非特許文献5は、パルスモード走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法についての技術を開示している。これは、SCIMのプローブと表面との距離を制御するために用いられている。この技術では、抵抗の変化をモニターするために、一定の電流パルスを使用している。] [0014] 非特許文献6は、培養細胞が移動運動する間の体積変化および細胞膜の動きを観察するためのパルスモード走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法の使用について開示している。この顕微鏡装置では、細胞表面と電極先端との差を制御するために電流パルスを用い、またプローブの横方向移動の際に先端が細胞膜に接触するのを防ぐためにバックステップを行う。この装置では、高い表面構造を持つ領域を決定するために、一定の解像度が用いられる。また、予想される表面構造の高さに応じて、異なる高さで横方向の走査を行うことができる。この方法には利点もあるが、それでも依然として走査スピードが遅い。] [0015] 国際公開第2000/063736号パンフレット] 先行技術 [0016] Hansma et al (1989) Science 243:641-3 Korchev et al (1997), J. Microsc. 188:17-23 Biophys. J. 73:653-8 NASA/TM-2004-213383 Mann et al, J. Neuro. Methods, 2003; 116: 113-117 Happelet al, J. Microscopy, 2003; 212: 144-151] [0017] 本発明は、 a)表面領域内のそれぞれ離れた位置において、SICMプローブを表面に接近させる動作を繰り返し、各位置における表面高さを測定する工程、 b)前記測定した表面高さに基づいて、前記領域の表面粗さ又はその他の表面特性を試算する工程、および、 c)前記領域内のそれぞれ離れた位置であって、前記試算された表面粗さ又はその他の表面特性のもととなった位置の間において、SICMプローブを表面に接近させる動作を繰り返し、前記表面粗さ又はその他の表面特性に適合した解像度で前記領域の画像を取得する工程、 を含む、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法(SICM)を用いた表面の調べる方法を提供する。] [0018] 本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、測定者にとって重要な領域がどこにあるかを確認するために、SICMで表面を走査して、サンプリングすること含む。SICMマイクロピペットを、山と谷の最大高低差よりも大きい振幅を伴って、表面の各位置で、表面より上の高度を循環させる。各位置の間の横方向の動きの際に、マイクロピペット先端が衝突または引っかかるのを避けるため、マイクロピペットは表面から離れたときのみ横方向に動かされる。表面または先端を損傷する可能性のあるマイクロピペットの横方向の動きは、先端が表面に近いときには行われない。] [0019] 好ましい実施形態において、サンプリングは、表面の各領域を正方形とするために四隅の点で行われる。最初の4点から高さの測定値を解析することにより、その領域の表面粗さの試算値を決定することができる。次いで、走査プローブ(例えばSICMマイクロピペット)を表面上の高い位置で正方形内の複数の点を循環させる。その点数は、例えば試算された表面粗さに基づいて選択される。この解析は、最終的に目的の構造を走査するまで1つの領域から複数の領域に渡り、さらにそれらの領域内の表面の複雑さに局所的に対応した解像度の画像を作成するために、次の点へと継続される。] [0020] 対応した走査のために表面粗さを基準とすることが記述されているが、表面各領域の画素数を決定するために、目的とする生物学的課題に応じてその他の基準を用いることもできる。例えば、撮像分解能を増大させるために、蛍光シグナルを表面の特徴として用いることができる。 本発明の方法を実施するための装置は、走査プローブ(マイクロピペット)を含んだSICM装置、走査される表面からプローブ先端までの距離を測定および/または制御する手段、および表面に対して横方向にプローブを動かす手段を含む。] [0021] 本発明の好ましい実施形態において、本方法は以下の工程を含む: (i)視覚とプローブ先端を通るイオン電流の変化や変調の観測に基づいて、表面から規定された距離まで先端を動かす。 (ii)繰り返しサイクル中に、プローブは表面から少し離れたところまで引き戻され、次いで規定された速さまたは変化率で表面に向かって進行する。 (iii)これらの各サイクル中、表面に向かって進行する間、電流が事前に設定された閾値レベルを下回るまで、イオン電流が観測され、閾値を下回った時、プローブは再度引き戻される。 (iv)表面構造との横向きの衝突を避けるため、横向き運動制御システムが周期的なプローブの進行と引き戻しの際に作動し、それによりそのサイクル中の前進の間および引き戻しの早い段階における、このような横向き運動が抑制される。 (v)領域が選択され、その領域に分布するいくつかの先行点の表面の高さを測定するためにプローブが用いられる。既に示されているように、領域が正方形である場合には、測定は正方形の四隅で行われる。 (vi)領域内の追加の測定点数は、工程(v)で測定された先行点の高さの分布を解析することにより決定することができる。前記先行点のすべてが同程度の高さであると観測された場合には、領域内のその他の点も同様の高さを有するであろうと考えるのが妥当であり、さらなる点を測定する必要はほとんどまたは全くない。先行点の高さにおける有意な変動が観測された場合には、領域内の表面の形状をより忠実に決定するために、領域内に分布する追加点の高さを測定することが妥当である。同様の高さを有すると推定される点においては測定を行わず、それによって、測定しようとする点の総数を減らし、表面の画像を作成する総時間を有意に減らすことができる。] [0022] 好ましい実施形態において、いずれの特定領域においてもプローブの引き戻しの高さは、その領域における構造の高度範囲の試算を考慮して、先行点の高さの変動についての知見から、安全域を加算して決定される。引き戻しの範囲を最小限にすることにより、引き戻しおよび前進という全一サイクルに必要な時間を減らし、それにより各点の測定にかかる時間を減らすことになる。] [0023] 表面に向かってプローブを前進させる間に、電流が事前に設定された閾値よりも初めて低くなった場合、所定の時間、所定の測定試料数のためにプローブの動作を停止されてよい。このような追加測定により、その表面に近い領域における、イオン電流とプローブから表面までの距離との関係についての情報が得られる。この関係をグラフ表示したものは、通常「アプローチカーブ」と呼ばれる。同様に、この関係は、表面粗さ、周囲の溶液に対する表面の伝導度、または表面がプローブ軸に対しての直角度合いなどの表面特性を示しているといえる。] [0024] プローブが表面に向って前進する各回において、プローブが表面から離れている間に、直近の電流レベルを考慮して、閾値電流を個別に設定してもよい。この電流は前進の直前に測定されてもよく、またはいくつかの測定値の平均であってもよく、またはいくつかの引き戻しサイクルにまたがった測定値を含む平均であってもよい。このような閾値の適正は、表面距離とは無関係の電流を変化させる要因を考慮するのに必要となる可能性がある。] [0025] ある領域内の点が測定されるとすぐに、他の領域が測定のために選択される。この第2領域が第1領域に隣接する場合には、これら2つの領域の間の境界線上にある任意の先行点のデータは、第2領域の高さの範囲を試算する際に再利用される。このようにして不必要な測定が回避される。正方形領域については、第1領域中の先行点が四隅である場合、隣接する正方形領域の高さの範囲の試算には、さらなる2点の測定を必要とするのみである。] [0026] 任意の領域において追加点が測定されるとすぐに、試算値がその領域内の小領域における高さの範囲から算出される。その範囲が十分に広い場合には、追加点が先行点の新たな集合の部分集合とみなされ、第1の追加点よりも間隔が近いさらなる追加点で測定が行われ、その小領域における表面の形状がより忠実に決定される。このプロセスは、プローブおよび制御システムの走査分解能によって決まる限界まで、反復的に実施されてもよい。] [0027] 本発明のさらなる態様では、ピペット(プローブ)が表面に接近する時のイオン電流の減衰を用いて、この点における試料の表面曲率および機械的特性についての情報を決定する。電流の減衰の仕方には、表面に関するこれらの両方の追加特性の情報が含まれていて、トポグラフィーなども同様である。表面が軟らかい場合に、同様のイオン電流の減衰を得るためにはより下方へ動く必要があるが、ピペットが表面に近づく際に加わる力により、表面が離れていってしまうためである。表面がより湾曲している場合にも、ピペットはより下方へ動く必要がある。アプローチカーブを解析し、また追加的に同一位置において異なる印加電圧用いて接近することで、加える力を変化させ、さらなる情報を得ることでき、ひいてはこれら追加的特性のマッピングを同時に行うことができる。したがって、本発明により、試料のトポグラフィーなどのその他の表面特性をマッピングすることが可能となる。これにより、例えば細胞膜下の細胞骨格など目的とする特徴を、より簡単に見つけだすことを可能とする鮮明なコントラストの画像を得ることができる。] [0028] さらなる態様には、走査型プローブ顕微鏡法を行うための装置があり、この装置は、 (i)走査プローブ (ii)走査する表面からプローブ先端までの距離を測定および/または制御する手段 (iii)表面に対して横方向にプローブを動かす手段 を含み、プローブの先端の距離を測定および/または制御する手段には、応答時間の異なる2つのピエゾアクチュエータを含む。] [0029] 第1ピエゾアクチュエータの移動範囲が少なくとも100μmであり、第2ピエゾアクチュエータの移動範囲が50μm未満、特に25μm以下が好ましい。] 図面の簡単な説明 [0030] 以下、本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。添付図面は次の通りである: 図1は、細胞表面を調査するのに使用されるホッピングモードSICMシステムの機器構成を示したものである。 図2は、従来のSICMが有する問題を図解したものであり、(b)はその問題を克服するためのホッピングモードSICMを図解したものであり、(c)および(d)は、従来のラスタ走査(c)およびホッピングモードSICM(d)を用いた海馬ニューロンの走査を示したものであり、(e)はホッピングモードSICMの原理を図解したものである。 図3は、種々の表面領域に対する種々の走査分解能を示したものである。 図4は、一領域に対する種々の圧縮レベルを示したものである。 図5は、典型的な前走査(A)および典型的な最終走査(B)における画素の数を示したものである。 図6は、ホッピングモードSICMで作成した、聴覚有毛細胞の機械感受性不動毛を垂直方向に隆起させた画像を示したものである。 図7は、生きた海馬ニューロンの画像を示したものである。 図8は、一次フィードバックシステムおよび二次フィードバックシステムを有するSICMシステムの機器構成を示したものである。 図9は、本発明において利用する種々の圧縮レベルを示したものである。 図10は、蛍光マッピング中のプローブの動きを図示したものである。 図11は、蛍光マッピング中に撮られた生きた海馬ニューロン細胞の画像を示したものであり、(A、D)はニューロンの励起蛍光SCIM画像、(B、E)はニューロンの励起蛍光画像と基準蛍光画像との差分蛍光画像、および(C、F)はニューロンの局所的なSICM画像である。 図12は、生きた海馬ニューロン上を走査中に記録した同時蛍光シグナルであり、矢印はピペットが細胞膜の近くに保持された間の、細胞膜を脱分極させた、シグナルのバーストを示している。] 図1 図10 図11 図12 図2 図3 図4 図5 図6 図7 [0031] 本発明の典型的なSICM装置には、走査プローブ、ピエゾアクチュエータ走査素子、制御電子機器およびコンピュータが含まれる。これらの構成物品は、例えばダイアフォト200(ニコン、東京、日本)のような倒立顕微鏡の中やその周辺に組み立てられてもよい。ピエゾアクチュエータを使用して、調べようとする表面からのプローブ先端の距離を測定および/または制御することができ、また、表面に対して横方向にプローブを動かすことができる。] [0032] 本願における「調べる」という語は、構造表面の変化をモニターする能力について説明することを意図しており、例えばある一定位置若しくはプローブを表面に走査させた際の、表面上若しくは表面における構造変化を検出すること、また構造の高さを測定することなども挙げられる。ある状況においては、「調べる」表面は柔軟であってもよく、また、例えば細胞表面下の細胞骨格のような表面下の構造の画像化を可能にすることもこの用語に含まれる。「調べる」という語を、構造変化を検出するという意味に限定することは意図しておらず、例えば、電気生理学的変化または化学的変化などをモニタリングすることも「調べる」という語に含まれる。] [0033] 「走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法」(SICM)という語は当該技術分野において公知であり、プローブと表面との間の伝導性または抵抗の測定し、表面とプローブの距離を一定に保つ走査型プローブ顕微鏡法に関連するものである。] [0034] 本発明の一実施形態では、既存のSICMユニットのソフトウェアは、zピエゾ(垂直方向)ステージを動かして上記で概説された手順を実行するように、改変されている。表面の予備的な「ホッピング」調査の振幅の試算値は、使用者によって入力されるであろうし、また表面上の始点に接近させる際にピペット先端の最大z範囲を制御するためのソフトウェアに使用される。粗さが最大の領域について必要な解像度で通常走査を行う場合、粗さが最大の領域が決定されるまで、読込まれる次の位置などを計算するために、これらのプローブから得られた高さ情報がソフトウェアに送られる。「ホッピングの振幅」は、通常、1μmよりも大きく、典型的には1μm〜8μmのオーダー、好ましくは2μm〜6μm、より好ましくは3μm〜6μm、例えば5μmである。] [0035] SICMにピペット(プローブ)を採用することで、プローブが測定対象の表面近くに位置した際に、プローブを通る調節された液体の流れによって、局所的で制御された圧力や力を測定表面にかけることができる。この圧力の印加によって、印加した圧力とその結果生じた表面の動きとの関係をモニタリングし、表面の柔軟性または弾性を測定することができる。また、これを用いて、例えば、機械受容イオンチャネルなどの細胞表面の成分を刺激することもでき、この刺激の結果として生じる電気生理学的または化学的な信号の変化をモニタリングすることもできる。] [0036] 表面が十分柔軟である場合には、表面に印加した圧力によって表面が動かされる。陽圧、すなわちプローブを通って表面に向かう流れは表面をプローブから離れた方向に押し動かす効果を有し、表面とプローブ先端との間隔を増大させる。陰圧は表面をプローブ先端方向に引き寄せ、間隔を減少させる。したがって、印加された圧力とその結果生じた表面の動きとの関係は、表面構造の弾性に関する情報を提供し得る。] [0037] プローブを用いて、同時に表面に圧力を加えながら表面を走査してもよい。この方法では、印加された圧力に表面が応答するため、本発明を用いて表面の詳細な像を構築し、表面の構造および表面下の構造を明らかにすることができる。] [0038] SICMプローブは接触せずに表面を撮像するが、さらに表面にごくわずかな力をかけるモードで動作させることも可能である。100メガオーム程度の抵抗を持つマイクロピペットにおいては、電極に印加するバイアスが低い場合が、これに当てはまる。高い印加バイアスでは、マイクロピペット先端の電場が、周囲媒質内の電気的な負荷により生じた力が無視できないほど強く、さらに細胞膜の収縮を引き起こすほど強い電場であることが認識できる(C.Bae, P.Butler Biomech. Model Mechanobiol. 7; 379: 2008)。しかしながら、この電気的な負荷は、低誘電率の媒質に小さな反発力を与え、それらをマイクロピペット先端周辺の高電場の領域からはねのけるという追加的な効果を持つ。低い電圧で、マイクロピペット先端が表面から離れている時、そのような力を加えることなく撮像することができる。しかしながら、高い電圧、もしくはマイクロピペット先端が表面により近い時は、高い耐電圧性が、表面を僅かにはねのける小さな力を生じさせる原因となる。したがって、撮像中の各点におけるこれらの位置ずれの差を利用して、試料の機械的特性(例えば、試料のヤング率や試料の動きのヒステリシス)を測定することができる。表面が平らではない場合、測定されたこれらの係数を、表面の局所的な曲率に対して補正しなければならない。この補正は、2つの設定されたイオン電流が減衰する割合の相対的なずれを各点で測定することによりなされ、1つは予想された差からのずれが表面の曲率のみに起因する低電圧において、もう1つは、そのずれが、表面をわずかに遠くへと押し動かす電気的な負荷によって増加すると予想される高い印加電極バイアスにおいてである。さらに、この力を利用して、表面を、その下にある成分に押しつけることができ、それにより、これらの成分をマイクロピペットで撮像することもできる。] [0039] 本発明は、ピペットが表面から離れている時、および「ホッピングモード」でピペットが近くにある時の構造測定を同時に行うのに利用することができ、そのため、短時間で次々と取得したこれらの2種類の測定値を引き算し、表面の差分マップを得ることができる。ピペットが表面近くにある時、アゴニストまたはイオンを効率的に表面へと局所供給することができ、細胞内カルシウムを検出する蛍光測定、または増加したカルシウムチャネルを記録した全細胞の測定により大きな応答が得られる。その供給はピペットが離れている時には無視できる。あるいは、ピペットをホップの底部で停止させ、効率的な局所供給のために電圧パルス(例えば、短い500mx〜2Vのパルス)を印加することができる。下記に概説されるように、この差分モードを用いて受容体または機械受容イオンチャネルをマッピングすることができる。] [0040] 図10は、蛍光マッピングの実施形態を図示したものである。プローブが表面から離れており、横方向の動きを待っている間に、SCIMプローブは、まずバックグラウンドの蛍光シグナルを測定する。次に、プローブが表面に接近し、表面トポグラフィーを測定する。ほんの少しの圧電性の動きも防ぐために、制御ソフトウェアでプローブ(ピペット)を短距離ジャンプさせてもよい。フィードバック制御が保留状態となり、ソフトウェアが、増加した蛍光シグナルを測定する。] 図10 [0041] 装置は、細胞のトポグラフィーと、ピペットの先端に焦点を合わせたレーザー光により励起された蛍光シグナルの検出を同時に行うために、採用してもよい。既存の技術とは対照的に、この「表面共焦点像」は、SICMを用いた「ホッピングモード」で実施することができる。各「ホッピング」工程において、まず、ピペットが表面から離れており細胞に力が少しも働いていない時に、バックグラウンドの蛍光のレベルが記録される。次に、ピペットは細胞の表面からの予め定められた距離まで運ばれ、ピペットの位置と蛍光シグナルの位置との両方が同時に記録される。圧力の刺激がピペットに印加された時には、ピペットは、カルシウムを通常透過するメカノトランスデューサチャネルを活性化することができる。これにより、例えばFluo-4のような、細胞内カルシウム受容性の蛍光色素分子の蛍光が増加する。ピペットが細胞表面から離れている時に、このシグナルを蛍光シグナルから差し引いてもよい。バックグラウンドの蛍光を差し引くことにより、圧力を印加した際の蛍光の局所的な変化が明らかとなる。この技術は、例えば、DRGニューロンおよび聴覚有毛細胞におけるMSイオンチャネルの位置をマッピングするために用いられる。] [0042] それにより、蛍光もしくは全細胞記録の同時測定、またはその他試料の同時測定と「ホッピングモード」を組み合わせて、差分マップを得ることができ、受容体および機械受容イオンチャネルならびに例えば局所的な機械的特性または局所的な化学基などの他の特性をマッピングすることができる。表面トポグラフィーの多次元画像を作成することができ、ピペットから供給された作用因子や刺激によって、局所的な表面の特性または機能を精査することができる。ホップの底部の前後において測定された目的パラメーターのベースラインレベルとの局所的な変化から表面の応答を測定することにより、差分画像が得られる。この技術は、薬剤候補が受容体若しくは機械受容性イオンチャネルの応答にどれくらい影響を及ぼすか、またはその応答を変化させる作用因子は何なのかを判定する方法において使用することができる。] [0043] 局所化・制御された圧力を印加するように適合させたSICMプローブの場合、中空のマイクロピペットまたはナノピペットは、例えば外径1.00mmかつ内径0.58mmのホウケイ酸ガラスキャピラリーを、レーザー搭載マイクロピペットプラー(例えばP-2000型、サッター社、米国カリフォルニア州サンラファエル)を用いて引っ張ることにより、作ることができる。200nm、400nmおよび1.0μmの円錐状のテーパー長および先端直径を有するプローブを得ることができる。従来の方法によって圧力を加えて、プローブを通る液体の流れを制御することができる。一般的には、プログラム可能な圧力注入器システム(例えばPM-4型、ワーナーインスツルメンツ社、米国コネチカット州ハムデン)はフレキシブルチューブを用いてSICMピペットホルダーの軸部と結合され、注入器は必要な圧力/時間プロファイルを生成するようプログラムされる。必要な圧力の量は当業者によって決定されてよい。一般的には、少なくとも10kPa、例えば10〜50kPaの陽圧が印加される。さらに一般的には、13〜40kPaの圧力が印加される。] [0044] 装置にはさらに、かけられた圧力によって細胞表面または生物学的な表面から発生する電気生理学的または化学的な信号を測定する方法が含まれていてもよい。そのような測定方法はSICMにおいて従来から行われている。] [0045] 生細胞のトポグラフィー画像のためのSICMの基本的な配置は、すでに開示されている(Korchev et al., Biophys. J. 1997a; 73:653-8; Korchev et al., J. Microsc. 1997b; 188 (Pt 1):17-23)。即ち、SICMには走査プローブとして試料に垂直に配置されたパッチクランプ・ナノピペットを使用する。ピペットは、3軸ピエゾ移動ステージに搭載される。] [0046] 従来の回線走査モードでは、プローブが細胞表面に接近し、ピペットを通るイオン電流を一定に維持するSICMのフィードバック制御を用いて、先端と試料との間隔の距離を一定に保ちながらプローブが細胞表面を走査する。SICM制御装置では、細胞の表面画像を作成し、真っ直ぐなピペットを、細胞の同定される特定の領域または構造の上で、細胞膜からおよそ100nm程度まで接近させることができる。] [0047] 従来の回線走査型のSCIMは接触モードおよび非接触モードの両方で使用可能であるが、細胞が容易に損傷されるか、またはパッチクランプピペットが動かされて直接的な物理的接触および/または機械的な刺激による障害によって高抵抗のパッチを破る可能性があるため、細胞顕微鏡法では、接触アプローチがあまり役に立たない可能性がある。しかしながら、非接触の機械的刺激は、SICMプローブと細胞との物理的接触が全くなく、損傷が回避されるため、場合によっては、無制限に繰り返されることも可能であろう。] [0048] 従来のSICMの回線走査は、広い領域の高分解能画像を取得するのに数時間かかる可能性がある。長時間にわたる走査は、固定された試料を用いる場合には良好に機能するが、表面の形態が時々刻々と変化する生物学的な生細胞には適用できない。ドリフト効果およびステッチ効果が、取得した画像中の走査された生細胞表面の隣接領域間に観察された。長い走査時間は、対象表面の走査領域の大部分が平らであるか、または興味深い特徴物を何も含まないにも関わらず、画像の全体にわたって、同様の高い走査分解能が用いられる、という事実に主に起因するものである。本発明は、興味のない特徴物の走査に費やす時間を減らし、興味深い領域を走査することに最も多くの時間を使うことによって、走査時間を減らすことができる。] [0049] 好ましい一実施形態では、当該方法を実行するために使用される装置には、第2ピエゾアクチュエータが含まれ、これによりプローブの停止能力が改善される。] [0050] それらの移動範囲に関連するピエゾアクチュエータの時間応答には物理的な限界がある。移動範囲が大きいアクチュエータは遅く、移動範囲の狭い同様の設計のアクチュエータで設定することができる速い時間を、移動範囲の大きいアクチュエータは設定することはできない。この挙動は、移動範囲ともに落ちるアクチュエータの共振周波数と関係がある。例えば、P-753の12マイクロメータ移動ステージの共振周波数は、38マイクロメータ移動バージョンがわずか2.9kHzである一方、5.6kHzである(Physikinstrumente社、ドイツ)。] [0051] ホッピングプローブプロトコルには、イオン電流が指定した設定値まで低下した時に、ピペットの即時停止および引き戻しが必要である。停止およびそれに続くピペットの引き戻しの遅れは、衝突によるピペットおよび/または試料の損傷を引き起こす。] [0052] 遅れは、アクチュエータの垂直方向の応答の遅れに起因し得る。加えて、運動量は応答の遅れの一因となり、より速い降下(接近)速度で停止するのにかかる時間をより長くし、それにより、より速い撮像が困難となる。このことを克服するために、図1に示すように、より狭い移動範囲のピエゾアクチュエータを追加して使用してもよい。イオン電流が過度に低下することなく初期(基準)値まで回復可能な十分な速さで、プローブを停止させて引き戻すために、追加のアクチュエータはより速い応答時間を有する。このことによって、表面における衝突の機会が最小限に抑えられ、背の高い試料に対処するために必要な垂直方向の広い移動範囲を保持しながらの、より速い撮像が可能となる。図1は、移動範囲の広い1つの高速アクチュエータとして機能させるために、2つのピエゾアクチュエータを組み合わせた、走査装置の概略図である。] 図1 [0053] 図1に示される、組み合わされた垂直方向のアクチュエータはホッピングプローブモードで動作させることが意図されているが、このアクチュエータは従来のDCまたは変調走査に使用することができる。] 図1 [0054] この機器構成を用いれば、長期の過剰なイオン電流の減少がない。これは、移動範囲が狭く速いピエゾアクチュエータを用い、プローブの効率的な引き戻しによる。速いピエゾは、イオン電流が指定した設定値に達した直後にホッピングプローブ制御ソフトウェアによる駆動信号のパルスを受け取る。] [0055] 組み合わされた垂直方向のアクチュエータシステムをDCまたは変調走査で使用する場合には、2つの別々のフィードバック制御が用いられる。入力信号としてイオン電流を含む一次フィードバックは、SICM標準フィードバックとして機能し、その出力が連結されて、移動範囲が狭く速いピエゾアクチュエータを動かす。二次フィードバックでは、速いピエゾアクチュエータの位置が入力信号として使用され、また、移動範囲の広いアクチュエータの位置を調節することによって速いアクチュエータがその中間の範囲に運ばれる(図8参照)。] 図8 [0056] システムが、各測定位置で、単純に1つの高さ測定値をそれに続くプローブの引き戻しを伴って取得するのではなく、むしろ、移動範囲の広いアクチュエータを停止し、少しの時間で、速いピエゾアクチュエータがフィードバックしてより正確な高さの測定を行うことを可能にする時に、組み合わせた垂直方向のアクチュエータをホッピングプローブモードで使用することも可能である。このハイブリッドホッピングプローブおよび標準連続フィードバックモードによって、より高い垂直方向の精度を達成することが可能となる。] [0057] 好ましい一実施形態では、本発明は、対象表面を種々の分解能で走査するために開発された走査プロトコルを使用する。そこでは、興味深い特徴物は高分解能(より低速の走査)で、興味のない特徴物は低分解能(より迅速な走査)で走査される。図3は、本発明の原理に従って生成される画像を示しており、そこでは、画像のより上方の部分の興味のある粗い領域は高分解能で走査されているが、画像のより下方の部分の興味のない平らな領域は低分解能で走査されている。従来の回線走査と比べた場合、少なくとも50パーセントの走査時間削減を、本発明を用いて達成することができる。したがって、これにより、これまで可能であったよりも、より高い分解能で細胞を撮像することが可能となる。] 図3 [0058] 正方形走査 従来の回線走査をする代わりに、撮像しようとする表面全体をいくつかの個々の正方形に分割する。これらの正方形をそれぞれ異なる分解能で撮像することができるため、結果として得られる画像はそれぞれの解像度を有する。正方形のサイズは画素で表され、各画素は撮像点としても使用される。使用される正方形のサイズは、4×4、6×6、8×8、16×16および32×32画素であった。画像サイズは、512×512に固定される。個々の正方形を1つずつ撮像することによって、撮像しようとする表面全体が走査される。32×32の正方形は、1列に16個の正方形で16行を形成し、画像全体では256個の正方形数となる。4×4の正方形を用いる場合には、1列に128個の正方形で128行が生じ、画像全体では16384個の正方形となる。] [0059] 圧縮レベル 圧縮レベルは画像の分解能を決定する。圧縮レベルが高いほど圧縮が高くなり、よって分解能が低くなる。しかしながら、これにより撮像点は少なく、走査時間は短くなる。使用する圧縮レベルは1、2、4、6、8、16および32である。これらのレベルは画素でも表される。圧縮レベル1は全画素の撮像を意味し、レベル4は4画素ごとに1画素を撮像することを意味する。正方形は、その辺の長さよりも高い圧縮レベルを有することはできない。32×32の正方形は32までのいずれの圧縮レベルも使用できるが、4×4の正方形は4までの圧縮レベルしか使用できない。例えば、図4に示されるような4×4の正方形を使用する場合には、圧縮レベル1はその正方形中の全画素を走査して16個の撮像点を提供し、圧縮レベル2はその正方形中の2画素毎に走査して4個の撮像点を提供し、圧縮レベル4はその正方形中の4画素毎に走査して1個の撮像点を提供する。圧縮を1標準レベル減らすことで分解能は2倍になるが、走査時間は4倍になる。標準圧縮レベルの各対の間にさらなる「中間」圧縮レベルを導入(図9参照)することにより、分解能および走査スピードに対するより微細な調整が可能となる。圧縮レベルdに対応する測定点の格子2枚を、xy両方向にd/2画素分ずらして重ね合わせることによって中間圧縮レベルd/√2が作成される(図9参照)。中間圧縮レベルd/√2により、最も近い、より高い標準分解能レベルよりも、√2倍高い分解能が、たった2倍の遅さの走査スピードで得られる。] 図4 図9 [0060] 圧縮走査プロトコル 各正方形について、走査は前走査および最終走査からなる。前走査を利用して正方形の分解能が決定され、それに続く最終走査によって正方形のトポグラフィーデータが記録される。] [0061] 前走査 前走査では、図5Aで示されるように、プローブはSCIM制御装置によって動かされて、正方形の四隅の画素のそれぞれを順番に調べる。コンピュータは、プローブの信号を処理して四隅の点のそれぞれについて対象表面の高さ(z)値を比較するように設定されている。これら4つの画素間の最大の差は、定められた「粗さ」のz高さ閾値と比較される。その差が閾値よりも大きければ、四隅の点で囲まれた正方形領域は粗く、よって、高分解能の最終走査を使用でき、そうでなければ低分解能が使用される。] 図5A [0062] 最終走査 最終走査では、前走査後にトポグラフィーデータが記録される。最終走査は、多数の不連続位置で、同様の正方形領域を撮像する。最終走査の撮像位置間の間隔は、前走査の後にコンピュータによって選ばれた圧縮レベルに依存する。図5Bから分かるように、図5Aにおける境界の四隅で撮像された正方形は、最終走査では16個の位置で撮像される。トポグラフィーデータを収集するために対象表面の領域を走査するのに使用される種々の圧縮レベルは、結果として生じる画像の解像度を表す。画像中の全箇所で同じ分解能を使用するために、単一の圧縮レベルのみを使用することも可能である。] 図5A 図5B [0063] 以下、本発明を実施例によって説明する。] [0064] 使用する装置および方法 溶液 海馬ニューロン(実施例2)の走査に使用した標準外液には、NaCl 145mM、KCl 3mM、CaCl2 2.5mM、MgCl2 1.2mM、グルコース10mM、HEPES10mMが含まれる。シナプスボタンのFM1-43染色に使用した添加液には、NaCl 103mM、KCl 45mM、CaCl2 2.5mM、MgCl2 1.2mM、グルコース 10mM、HEPES 10mMおよび10μM FM1-43(モレキュラープローブ社)が含まれる。PBS(組成:NaCl 137mM、KCl 2.7mM、KH2PO4 1.5mM、Na2HPO4 4.3mM、pH7.2)を、固定した培養コルチ器外植片の高分解能画像に、外液として使用した。すべての実験において、ナノピペットをPBSで満した。撮像中のナノピペットの閉塞を最小限にするために、外液およびピペット溶液をいずれも、滅菌済み0.2μmアクロディスクシリンジフィルター(ポール社、米国)を用いて濾過した。] [0065] 培養コルチ器(実施例1を参照) コルチ器外植片を、生後2〜4日(P2〜4)のマウスから切り取り、ガラス底ペトリ皿(WillCo Wells社、オランダ)に入れた。外植片を、25mMHEPESおよび7%ウシ胎仔血清(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールズバッド)を添加したDMEM培地中で、37℃、95%空気/5%CO2で培養した。培養コルチ器は、実験において1〜5日以内に使用された。いくつかの実験では、10μg/mlのアンピリシン(カルバイオケム社、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を培地に添加した。マウスの左右の蝸牛からのコルチ器を、同時に処理した。培養コルチ器を、2mM CaCl2を添加した0.1Mのカコジル酸バッファー中の2.5%グルタルアルデヒド中に室温で1〜2時間浸した。片方の蝸牛をHPICM撮像に使用し、もう一方の蝸牛はSEM撮像に使用した。] [0066] 海馬ニューロンの調製(実施例2を参照) 海馬ニューロンは、Shah et al, J. Neurophysiol. 2000; 83:2554-2561に記載されているとおりに調製し、共焦点顕微鏡法が可能となるようにガラスカバースリップ上で培養した。細胞を、37℃、95%空気/5%CO2のインキュベーター内で1〜2時間保持した。インキュベーターの外に出されてすぐに、細胞を、室温にて標準外液で洗浄し2時間以内に走査した。トポグラフィー/蛍光の組合せ測定用に、海馬ニューロンは、まず、シナプスボタンをFM1-43で染色するために1.5mlの添加液中で室温で90秒間インキュベートし、次に、全量で少なくとも10mlの標準外液で3回洗浄し、撮像の前に15分間暗所に放置した。] [0067] HPICMプローブ ナノピペットは、ホウケイ酸ガラス(O.D. 1mm、I.D. 0.58、Intracell社、英国)から、レーザー搭載プラーP-2000型(サッター社、米国)を用いて引き伸ばした。100MΩ〜150MΩの範囲の抵抗(標準外液中で測定)を示し、100nmに近い内径の標準ピペットである、2つの異なるピペットを使用した。これらのピペットを、海馬ニューロンの走査に用いた(実施例2)。蝸牛有毛細胞における不動毛の束の高分解能画像(実施例1)を、およそ400MΩ(範囲300〜500MΩ)の抵抗および30nmに近い推定内径を有する鋭いピペットを用いて記録した。ピペット内径は、ピペット抵抗から、3°の半円錐角を用いて推定する。] [0068] 機器 ホッピング技術は、付属プローブを備えたZ−ピエゾの広く素早い垂直方向の運動から生じる機械的振動を十分に減衰させることを必要とする。装置はZ方向に動くナノピペットを有し、試料はX−Y平面上で動く別のピエゾシステム上に載せられる(図1)。X−YピエゾからZ−ピエゾをこのように分離することは、機械的な干渉を防ぐために必要である。また、ピエゾの動きをZ軸に沿って動かす回路は、1ms程度の速さの非振動的なステップ応答を可能にするよう調整される。] 図1 [0069] すべての実験は、SICM走査装置制御装置(イオンスコープ社、英国)および走査ヘッド(イオンスコープ社、英国)を用いて行われた。撮像には、2つの異なるヘッドを用いた(図1)。走査ヘッド#1は、試料を動かす100×100μmの移動範囲を有するPIHera P-621.2 XYナノポジショニングステージ(Physik Instrumente(PI)社、ドイツ)およびZ軸に沿ったピペットのポジショニングのための25μmの移動範囲を有するLISAピエゾアクチュエータP-753.21C(PI社、ドイツ)からなる。粗いポジショニングは、移動ステージM-111.2DG(XY方向)およびM-112.1DG(Z軸)(PI社、ドイツ)で達成された。Zピエゾアクチュエータは200W最大出力低圧力PZTアンプE-505(PI社、ドイツ)で駆動させ、XYナノポジショニングステージは3×14WアンプE-503(PI社、ドイツ)で駆動させた。走査ヘッド#2は、移動範囲10×10μm(試料のXYの動き)にカスタマイズしたP-733.2DD超高速XY走査型顕微鏡ステージ(PI社、ドイツ)およびナノピペットをZ軸に沿って動かす、移動範囲5μm(PI社、ドイツ)にカスタマイズしたLISAピエゾアクチュエータP-753.21Cからなる。25mmの移動範囲を有する移動ステージM-112.1DG(PI社、ドイツ)は、Z軸上でのピペットの粗いポジショニングに使用した。すべてのピエゾは200W最大出力低圧力PZTアンプE-505(PI社、ドイツ)で駆動させた。走査ヘッド#2は、蝸牛有毛の束の高分解能走査に使用した。他のすべての実験は走査ヘッド#1を用いて行った。] 図1 [0070] 両走査ヘッドにおけるすべてのピエゾ素子は、Sensor & Position Servo-Control Module E-509(PI社、ドイツ)を用いて容量センサー制御閉ループで動作させた。走査ヘッドは、ニコンTE200倒立顕微鏡(ニコン、日本)の台に設置した。ピペット電流は、Axopatch 200B(モレキュラーデバイス社、米国)を介し、1mV/pAの増幅率および5kHzのローパスフィルター設定を用いて検出した。+200mVのDC電圧をピペットに供給するのにAxopatch 200Bの内部保持電圧源を用いた。3つすべてのピエゾ素子からの容量センサーの出力は、Axon Digidata1322A(モレキュラーデバイス社、米国)およびClampex 9.2(モレキュラーデバイス社、米国)を用いてモニタリングした。] [0071] LCS-DTL-364レーザーダイオード(473nmの波長、レーザコンパクト社、ロシアモスクワ)を使用して、共焦点顕微鏡法測定中の励起光源を提供した。蛍光シグナルは、油侵対物レンズ100×1.3NA、落射蛍光フィルターブロックおよびピンホール(D-104-814、Photon Technology International社、英国サービトン)を備えたフォトマルを用いて得た。] [0072] ホッピングモードプロトコル ホッピングプローブの垂直方向のZ位置決めおよびXY平面での試料の動きは、SBC6711 DSPボード(Innovative Integration社、米国)を20kHzのサンプリング周波数で利用してSICM制御装置(イオンスコープ社、英国)で制御した。各撮像点での高さの測定は3段階で構成される。まず、プローブを、プローブが存在する位置から、指定の距離だけ、または指定の絶対的高さレベルまで、引き戻した。次に、XYナノポジショニングステージがXY平面上の新たな点への試料の動きを完了する間、プローブの垂直方向の位置を10msの間保持した。この間に基準電流IREFを、HPICMプローブを通るDC電流の平均として測定した。最後に、IREFとプローブを通る電流の瞬時値IMVとの電流の差ΔIをモニタリングしながら、プローブを(標準ピペットには)100nm/msまたは(鋭いピペットには)30nm/msという一定の降下速度で下げた。少なくとも4つの連続した(200μsである)測定期間中、ΔIが設定値の指定の値ISを超えるとすぐに、プローブの垂直方向の位置は対応する画像画素に保存され、プローブは指定のホップ振幅で素早く引き戻されて新たな測定サイクルを開始する。IS値は、IREFの0.25%から1%にわたる。] [0073] 電流測定精度および垂直方向の分解能についての詳細は下記「アプローチカーブ」を参照のこと。] [0074] 適応撮像中、各正方形中に観察された粗さに依存する種々のサンプリング/分解能の正方形において、「512×512」画素画像の最終的なトポグラフィーが実際に取得された。正方形のサイズは4×4、8×8、16×16、および32×32画素であり、分解能レベルは一画像全面当たり512×512、256×256、128×128、64×64、32×32、16×16画素に相当した。] [0075] この研究における画像には、1または2種類の異なる分解能レベルを使用した。各正方形において、3〜6μmという指定のホップ振幅を用いて四隅の点で迅速な前走査(図2e)が行われ、粗さRPPおよび最も高い点Hmaxが決定された。次に、試算されるRPPが、使用者が定めた粗さ閾値RTを超える場合には、各正方形はより高い分解能レベルで再走査され、そうでない場合には、より低い分解能レベルが使用された。ある場合には、高速プレビュー画像を(低分解能で)作成するか、または適応走査(高分解能制御)中に細部が少しも失われないことを確実にするかのどちらかをするために、すべての正方形を単純に同じレベルの分解能で撮像した。海馬神経回路網の高分解能での広い領域の画像(実施例2)は、通常は、5μmの前走査ホップ振幅、4×4画素の正方形サイズ、256×256および128×128画素の2種類の分解能レベル、ならびに100nmのRT値で取得された。毛束の高分解能走査(実施例1)のために、前走査ホップ振幅を3μmに、RT値を25nmに減少させた。樹状突起の回路網の中間分解能イメージング(実施例2)のために、正方形サイズを、通常、8×8画素まで減少させ、128×128および64×64の分解能レベルを用いた。標本の撮像に必要な総時間は、高い粗さを示す試料領域の割合に依存して著しく変動した。一般的に言えば、より遅いプローブ降下速度(すなわち、より鋭いプローブを用いた場合)、より小さいサイズの走査正方形、より高い前走査ホップ振幅およびより高い分解能レベルでは、撮像時間が増加する。複雑な試料の高分解能画像は30分ないし40分を要した。より複雑さの少ない領域の画像は5分〜12分を要した。ただし、通常、各撮像正方形において上向きのホッピングは異なる初期高さで開始する。したがって、このアルゴリズムによって、各撮像正方形におけるホップの振幅を過度に増加させることなく、背の高い試料を「登る」ことが可能となる。] 図2e [0076] 蛍光測定 海馬ニューロンの入ったシャーレを、15分間暗所に保持した後に、走査ヘッドのXYナノポジショニングステージ上に載せた。粗い動きには10×対物レンズならびにX移動ステージ、Y移動ステージおよびZ移動ステージを用いて、HPICMピペットを、目的の領域上にポジショニングし、試料表面から約200μmの安全距離まで下げた。次に、100×油侵対物レンズが選ばれ、自動アプローチアルゴリズムにより、HPICMプローブが試料表面から約1ピペット半径長の距離まで運ばれた。次に、顕微鏡の台全体のXYポジショニングが、共焦点レーザー光とともに、ピペットの先端にそろうよう調整された。光退色を最小限に抑えるため、選択領域の蛍光画像は、トポグラフィーとは別に、3分以内に記録した。急速な蛍光取得中のピペットと試料との衝突を避けるため、HPICMプローブをおよそ24μm引き戻した。蛍光画像を取得した直後に、同一領域のトポグラフィー撮像を行った。] [0077] 走査型電子顕微鏡法 固定したコルチ器を、超純粋蒸留水中で解体し、段階的な濃度のアセトン中で脱水し、液体CO2から臨界点乾燥した。次に、標本を、膜厚モニタ(EMS 150)とともに制御下において、5.0nmの白金でスパッタコーティングした(EMS 575Xスパッタコーター、Electron Microscopy Sciences社、米国)。コーティングした標本を、電界放出SEM(S-4800、日立、日本)を用いて低加速電圧(1〜5kV)で観察した。] [0078] 画像処理 種々の分解能で取得した未加工の高さデータを、双線形補間法を用いて補間し、512×512画素の最終画像を作成した。必要な場合には、画像を補正して、Z軸におけるXYナノポジショニングステージの小さな位置ずれによって生じる縞を除去し、また、プレパラートに存在する傾斜についてさらに画像を補正して、微細な細部の映像化を助けた。] [0079] アプローチカーブ 表面から離れて記録された基準電流(IREF)のパーセンテージとして表される確実に検出可能な最小の電流低下は0.25%(内径100nmの標準ピペットについて)〜0.75%(内径30nmの鋭いピペットについて)にわたる、ということを実験のアプローチカーブは示している。我々の実験装置における電流測定の高いシグナル・ノイズ比のため、1%設定値における試算される垂直方向の分解能は、標準ピペットでは9nm、鋭いピペットでは6nmである。実際の垂直方向の分解能は、特徴物の横方向の寸法に依存する。30nmピペットの垂直方向の感度を、標準の5kHzの代わりに1kHzローパスフィルターを用いることによって、およそ3nmまでさらに改良することができる。しかしながら、これはフィードバック制御の応答時間を減少させるであろう。] [0080] 実施例1 当該技術のロバスト性を判定するために、培養コルチ器外植片中の聴覚有毛細胞の機械感受性不動毛を撮像した。これまでに、不動毛をAFMまたはラスタ走査SICMで撮像するといういくつかの試みが行われているが、これらの研究では、不動毛の束の大まかな構造さえも解像されたことはない。標本を固定し、本発明(ホッピングプローブイオンコンダクタンス顕微鏡法−HPICM)で取得した画像と走査型電子顕微鏡(SEM)で取得した画像とを比較した(図6a〜c)。HPICMは、不動毛を、およそ100nm以下の直径を有する最も短いものまでも、非常によく解像した(図6b、c)。また、これらの若い生後聴覚有毛細胞に存在する運動毛(真の繊毛)も映像化された(図6c、矢印)。HPICMの分解能の限界を調査するため、不動毛を相互に連結しそれらの機械感受性の機能に重要である、微細な細胞外フィラメント(の輪)を撮像した。これらの輪の直径は、およそ8〜10nm程度に小さいこともあり得る。野生型の有毛細胞において、輪の大部分はHPICMプローブにとっては近づきづらい。HPICMプローブは束に対して垂直方向に接近するためである。したがって、Shaker2マウスの、異常に短いにも関わらず機械感受性の不動毛を用いた(図6d〜f)。およそ30nmの内径を有するHPICMプローブは、直径16±5nm(n=37)の特徴物として現れるこれらの輪を解像することができた(図6f)。HPICMは、SICMと同じセンサーを使用するため、横方向および垂直方向の分解能を決定する同じ物理的原理を共有する。SEM画像上の同一の不動毛の輪の見かけ上の直径は22±5nm(n=41)であった。白金コートの厚み(両面に5nm)を差し引いた後、これらの輪の直径について、12±5nmという独立した推定値が得られる。したがって、HPICM観察およびSEM観察は、見事に一致して、達成可能な高分解能を示している。] 図6b 図6c 図6f [0081] 実施例2 生きた細胞の動きは、高速撮像にさらなる要件を課す。複雑な生きた細胞の構造を映像化するのに適合HPICMが十分速いかどうかを試験するために、生きた海馬ニューロンを調査した(図7a)。生きた海馬ニューロンの調査は、軸索および樹状突起によって形成される複雑な三次元の形状のために、いずれの走査型プローブ顕微鏡法にとっても、未解決の課題である。HPICMは、暫定的に軸索と特定された非常に微細な(直径50〜60nm以上)突起(図7b、c)だけでなく、シナプスボタンに似た構造も明らかにした(図7b、c)。この標本を、エンドサドーシスとエキソサイトーシスとのサイクルの間にシナプス小胞に蓄積される活性依存マーカーであるFM1-43で標識し、同一試料のトポグラフィーおよびFM1-43の蛍光を記録した。蛍光シグナルが観察された場合には常に、画像中の結節状構造を同定することも可能であった(図7d〜g)。これらの結節状構造のサイズおよび形状は、シナプスボタンに期待される幾何学的形状と一致する。よって、この調製で生じる細胞の再構成および移動は比較的(数十分のタイムスケールで)遅いにもかかわらず、適応HPICMのスピードが、これらの生きた複雑な回路網中の軸索、樹状突起およびボタンの「スナップショット」を生成するのに十分であることは明らかである。より速い原動力は、より小さい領域の撮像することおよび/または分解能を減少させることによりフォローすることができる。] 図7a 図7b [0082] 実施例3 −生細胞におけるイオンチャネルのマッピング 細胞膜上のイオンチャネルをマッピングするとのことは、生物学において大きな関心事の1つである。ホッピングモードでは、生きたニューロンを刺激し、それらのイオンチャネルを細胞膜の脱分極によって開かせた。ニューロンの応答は、同時走査とともに蛍光検出を用いて測定された。高カルシウム濃度に感受性のfluo4色素で細胞を負荷し、カリウムを含む溶液でピペットを満たした。ピペットが表面に近い間に、ピペット先端から放出されるカリウムイオンによって細胞膜が脱分極し、それにより細胞膜がそのカルシウムチャネルを開かせた。カルシウムイオンは、これらのチャネルを介して細胞に入り、fluo4に結合し、色素に蛍光を生じさせた。] [0083] ピペット中のマイナスの電圧電位を用いて、走査の前に先端の内側にカリウムを保持した。カリウムをピペットの外に走査中に与えるために、走査中は、プラスの電圧を用いた。使用したホッピング設定値は基準イオン電流の0.5%から0.7%の間の低下であり、ホッピング振幅は5μmから7μmの間であった。各撮像点で、80msの間、ピペットを細胞膜の80nm上に位置させた。この間に、ピペットから放出されたカリウムイオンによって細胞膜が局所的に脱分極し、カルシウムの流入のために、図11AおよびDに示されるように、励起蛍光シグナルが得られる。バックグラウンドの蛍光を除去するために、励起蛍光シグナルから、各画素においてピペットが膜から遠い時に測定された基準シグナルを差し引き、差分シグナルを得た(図11BおよびE)。これら画像から、ピペットの刺激によってニューロンの細胞体および樹状突起部分が脱分極し、結果としてそのイオンチャネルがマッピングされた、とのことが明確に理解され得る。ピペットが細胞膜に近い間に、図12に示されるように、励起蛍光シグナルは記録され、イオンチャネルの開口を指し示すバーストが観察された。] 図11A 図11B 図12 実施例 [0084] 上述されたすべての刊行物の内容は、参照により、本明細書に組み入れられたものとする。]
权利要求:
請求項1 走査型イオンコンダクタンス顕微鏡法(SICM)を用いた表面を調べるための方法であって、a)表面領域内のそれぞれ離れた位置において、SICMプローブを表面近くに繰り返し動かし、各位置における表面高さを測定する工程、b)前記表面高さ測定に基づいて前記領域の表面粗さまたはその他の表面特性を試算する工程、および、c)前記領域内のそれぞれ離れた位置において、前記プローブを表面の近くに繰り返し動かし、その点数および前記位置は領域における前記試算された表面粗さまたはその他の表面特性にもとづいたものであり、前記表面粗さまたはその他の表面特性に適合した分解能で前記領域の画像を取得する工程、を含むことを特徴とする、前記表面を調べるための方法。 請求項2 前記工程b)およびc)が、必要とする解像度によって、小領域に対して反復的に繰り返される、請求項1に記載の表面を調べるための方法。 請求項3 各位置においてプローブを表面の近くに動かす前記工程が、その位置における表面の高さよりもより遠距離から各位置に接近することによって行われる、請求項1または2に記載の表面を調べるための方法。 請求項4 前記プローブの横方向の動きが、前記プローブが表面から離れているときのみ行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面を調べるための方法。 請求項5 走査プローブを表面の近くに動かす前記工程中において、測定するプローブ電流が閾値に達する時に前記接近が終了する、請求項1〜4のいずれかに記載の表面を調べるための方法。 請求項6 前記閾値が、プローブが表面から離れている時に測定されたプローブ電流に基づくものである、請求項5に記載の表面を調べるための方法。 請求項7 プローブ電流が0.25%〜1%減少した時に前記接近が終了する、請求項5又は6に記載の表面を調べるための方法。 請求項8 各測定において、前記プローブが移動する、前記表面から離れている位置から前記閾値の位置までの距離が1μmよりも大きい、請求項6に記載の表面を調べるための方法。 請求項9 走査プローブを表面の近くに動かす前記工程中、接近率または速度が一定である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面を調べる方法。 請求項10 プローブ電流とプローブから表面までの距離との個別の関係が、各測定位置で決定される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面を調べる方法。 請求項11 前記プローブが表面から離れている時と前記プローブが表面の近くにある時との走査測定値を得て、第一の測定値から第二の測定値を差し引くことによって表面の差分マップを取得する、請求項1〜10のいずれかに記載の表面を調べるための方法。 請求項12 作用因子またはその他の刺激が前記プローブの先端において適用され、前記表面から離れた位置と前記表面の近い位置とで前記作用因子または刺激への応答が測定され、第一の測定値からの第二の測定値を差し引くことにより前記表面の差分マップが得られる、請求項11に記載の表面を調べるための方法。 請求項13 表面構造により活性化される蛍光色素分子の存在下で行われ、レーザー光の焦点が前記プローブの先端に合わせられて蛍光が測定され、前記表面から離れた位置と前記表面に近い位置とで走査測定値が蛍光測定値とともに取得され、第一の蛍光測定値から第二の蛍光測定値を差し引くことにより蛍光の位置ごとの変化を明らかとする、請求項11に記載の表面を調べるための方法。 請求項14 プローブを表面の近くに動かす前記工程中、個別の閾値で前記接近が終了し画像を取得する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の表面を調べるための方法。 請求項15 プローブ電流が1%、5%および10%減少した時に前記接近が終了する、請求項14に記載の表面を調べるための方法。 請求項16 工程(b)および(c)が、試算された表面粗さを用いて行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の表面を調べるための方法。 請求項17 工程(b)および(c)が、蛍光シグナルの存在を測定することにより行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。 請求項18 画像がプローブ電流における複数の異なる閾値で取得され、得られた結果の差によって、表面の機械的特性に関する情報を得る、または前記表面の下の構造に関する情報を明らかにする、請求項5またはそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の方法。 請求項19 工程(c)が異なる電圧で行われ、得られた結果における差によって前記表面の機械的特性に関する情報を得る、または前記表面の下層の構造に関する情報を明らかとする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。 請求項20 走査型プローブ顕微鏡法を行うための装置であって、(i)走査プローブ、(ii)走査しようとする表面からの前記プローブの先端の距離を測定および/または制御する手段、(iii)前記表面に対して横方向に前記プローブを動かす手段、を含み、前記プローブの先端の距離を測定および/または制御する前記手段が異なる応答時間の2つのピエゾアクチュエータを含むことを特徴とする、前記走査型プローブ顕微鏡法を行うための装置。 請求項21 走査型イオンコンダクタンス顕微鏡である、請求項20に記載の装置。 請求項22 第1ピエゾアクチュエータの移動範囲が少なくとも100μmであり、第2ピエゾアクチュエータの移動範囲が50μm未満、好ましくは25μm以下である、請求項20または請求項21に記載の装置。
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